AI VTuberを自分の手で作りたいけれど何から始めれば良いのか分からない人向けに、必要なツール選びから自動配信の流れまでを一通り整理します。
この記事では難しいプログラミングをできるだけ避けつつ、まずは簡単な構成でAI VTuberを動かし、そこから少しずつ機能を広げていく手順を解説します。
AI VTuberの作り方を基礎から学べる5ステップ
ここではAI VTuberの全体像をつかみながら、どの順番で準備すればスムーズに構築できるかを5つのステップに分けて説明します。
AI VTuberの全体像を理解する
AI VTuberは大きく分けて「見た目のアバター」「声と音」「会話エンジン」「配信ソフト」の4つの要素で構成されます。
視聴者のコメントや入力テキストをAIが読み取り、会話エンジンが返答を作り、音声合成がその文章を読み上げ、アバターが口パクやモーションで反応する流れが基本です。
これらをOBS Studioなどの配信ソフトで1つの画面に合成し、YouTubeやTwitchにライブ配信します。
最初はすべてを完璧に揃えようとせず、テキストと音声だけで簡易版を動かしてみるくらいの感覚で始めると挫折しにくくなります。
全体像をつかんでから細かなツール選びに進むことで、無駄な作業や遠回りを減らせます。
必要な準備と環境を確認する
AI VTuberを動かすには、WindowsやMacなどのPCと安定したネット回線、そしてある程度のCPUやメモリが必要になります。
特に音声合成や配信ソフトはPCに負荷がかかるため、古いノートPCの場合は解像度を下げるなどの工夫が重要です。
配信先としてYouTubeやTwitchを使うなら、事前にアカウント開設と配信の有効化を済ませておきます。
ChatGPT APIなどの会話エンジンを使う場合は、クレジットカード登録やAPIキーの発行も先に済ませておくと後で焦らずに済みます。
開発環境としてはPythonなどを使うケースが多いですが、ノーコード系のサービスを中心に組む方法もあるので自分のスキルに合わせて選びましょう。
キャラクターと世界観を決める
AI VTuberの魅力はキャラクター性にあるため、最初に「どんな性格でどんな口調で話すのか」をしっかり決めておきます。
名前や年齢、話し方のクセ、好きなものや嫌いなもの、配信でよく話すテーマなどをメモに書き出しておきます。
こうした情報は後で会話エンジンに渡すプロンプトの材料となり、AIが一貫した人格で話し続けるための軸になります。
ビジュアル面でも、現実寄りなのかアニメ寄りなのか、明るい色味なのかダークな雰囲気なのかといったイメージを先に決めるとツール選びが楽になります。
まずは企画書感覚で世界観を整理してから、アバター制作や音声設定に進むのがおすすめです。
小さく試す最初の配信を想定する
いきなり24時間自動配信を目指すのではなく、最初は10分から30分程度のテスト配信を目標に設計します。
テスト配信では「コメントを一定間隔で取得してAIに渡す」「返答を音声合成してアバターが喋る」というシンプルな流れだけに絞ります。
この段階ではBGMや凝った演出よりも、遅延やフリーズが起きないか、会話が破綻しないかといった基本動作の確認を優先します。
あえて非公開配信や限定公開でテストし、身近な友人にだけURLを共有して感想をもらう方法も良いです。
小さな成功体験を積みながら改善点を見つけることで、本格運用に向けたモチベーションを維持できます。
運用と改善の方向性を決める
AI VTuberは一度作って終わりではなく、配信を重ねながらペルソナや会話スタイルを調整していくプロジェクトです。
配信のログやチャット欄の反応を振り返り、「ウケが良かった話題」「炎上リスクがありそうな発言」「技術的なトラブル」をメモしておきます。
そのメモをもとにプロンプトの書き換えやNGワードの追加、配信時間帯や長さの見直しなどを定期的に行います。
視聴者の増加に応じて、FAQをまとめたナレッジを会話エンジンに読み込ませるなど、サポート的な役割を強化することも可能です。
最初から完璧を目指すよりも、実験と改善を繰り返す前提で運用方針を決めておくと長く続けやすくなります。
AI VTuberに必要なツール一覧
このセクションではAI VTuberを動かすために代表的なツールを分類し、どの役割にどのソフトを使うと良いかを整理します。
キャラクター作成ツール
AI VTuberの見た目となる3Dや2Dアバターは専用ツールで作成し、配信ソフトに読み込んで利用します。
3Dアバターを自作したい場合はVRoid Studioのような初心者向けのモデリングソフトがよく使われます。
2Dの立ち絵をベースにしたLive2D形式のアバターを使う場合は、イラストとモデリングの工程を別途用意する必要があります。
最近は画像生成AIでイラストを作り、それをLive2Dや自動モデリングサービスに読み込ませる方法も増えています。
まずは自分の絵のスキルや予算に合わせて、完全自作か外注か、またはプリセットアバターを使うかを選びましょう。
- VRoid Studio
- Live2D対応ソフト
- プリセットアバターサービス
- 画像生成AI
音声合成の選択肢
AI VTuberの声は音声合成ソフトやクラウドのTTSサービスを使って生成し、会話テキストと連携させます。
日本語のキャラクターボイスに強い無料ソフトとしてVOICEVOXがあり、かわいい系から落ち着いた声まで幅広く選べます。
より商用寄りの品質や法人利用を重視するなら、有料のCeVIO AIやオンラインの音声合成サービスも検討対象になります。
配信の雰囲気に合う声色や話速、イントネーションを事前にテストし、視聴者が聞き取りやすい設定を探しましょう。
ツールごとの特徴を比較し、自分の用途に合う音声エンジンを選ぶことが重要です。
| 用途 | 代表的な音声合成ツール |
|---|---|
| 無料で始めたい | VOICEVOX |
| 表現力を重視したい | CeVIO AI |
| クラウド連携を優先したい | 各種TTS API |
| 独自ボイスを作りたい | カスタム音声合成サービス |
配信ソフトの種類
アバターの映像と音声を組み合わせて配信サイトに送る役割を担うのが配信ソフトで、その中心的な存在がOBS Studioです。
OBS Studioは無料で使える定番ソフトで、シーン切り替えやウィンドウキャプチャ、オーディオミキサーなど配信に必要な機能を一通り備えています。
簡単な構成なら、アバター表示ソフトのウィンドウをキャプチャし、音声出力をOBSに入力するだけで配信を始められます。
より手軽さを求めるなら、ブラウザベースの配信ツールやスマホアプリと組み合わせる方法もあります。
長期運用を考えると、拡張性の高いOBS Studioを軸に構成を組むケースが多くなります。
AI VTuberの会話エンジン設計
次にAI VTuberが視聴者と自然に会話できるようにするための、ペルソナ設定やプロンプト設計のポイントを整理します。
ペルソナ設計のポイント
会話エンジンに渡すペルソナ情報は、キャラクターの一貫性を保つための設計図になります。
最低限、名前や一人称、語尾のクセ、好きな話題、避けたい話題などを箇条書きで整理しておきます。
性格面では、明るいのか落ち着いているのか、ツンデレなのかフレンドリーなのかといった軸をはっきりさせます。
過去の配信設定やストーリーを持たせる場合は、矛盾が出ないように時間軸も含めてメモを作ると管理しやすくなります。
こうした情報をまとめたうえで、会話エンジンのシステムプロンプトに埋め込むと、AIがブレにくい人格で話し続けてくれます。
- 名前と一人称
- 性格の軸
- 話し方の特徴
- 好きな話題
- NGテーマ
プロンプト構成の例
AI VTuber用のプロンプトは、キャラクター設定だけでなく配信ルールや安全対策も含めた構造にすると運用しやすくなります。
システムメッセージでは「常にキャラクターになりきる」「視聴者を尊重する」「暴力的な発言をしない」などの基本方針を書きます。
ユーザーメッセージには視聴者からのコメントや配信の状況をまとめて渡し、アシスタント側で返答テキストを生成する形にします。
必要に応じて、配信説明欄や過去ログをコンテキストとして付与し、話題の継続性を高めることもできます。
プロンプトの構造をあらかじめ表に整理しておくと、後から修正するときも混乱しにくくなります。
| 要素 | 記載内容の例 |
|---|---|
| キャラクター設定 | 性格や口調のルール |
| 配信ルール | 視聴者への態度や禁止事項 |
| 会話のトーン | 丁寧さやテンションの目安 |
| コンテキスト | 配信タイトルや説明欄 |
| システム指示 | 応答の長さや話題の範囲 |
チャット入力の取り込み方法
視聴者とのリアルタイムなやり取りを実現するには、配信サイトのチャット欄からコメントを取得し、会話エンジンに渡す仕組みが必要です。
YouTubeやTwitchでは公式APIを使ってチャットメッセージを取得できるため、一定間隔でコメントを取得してキューに貯めていきます。
複数人からコメントが来る場合は、すべてを読むのではなく代表的なものを選んだり、あいさつ系のコメントをまとめて処理したりする工夫が有効です。
暴言やスパムを避けるために、NGワードフィルタやモデレーション用のロジックを挟むと安全性が高まります。
最初は簡単なフィルタから始め、問題が見つかったタイミングでルールを追加していく運用で十分です。
AI VTuber制作の具体的な手順
ここからは、実際にAI VTuberを動かすための大まかな手順をステップごとに整理し、初めてでも迷いにくいロードマップを提示します。
ステップ1 アバターを用意する
最初のステップは、配信画面に表示するアバターを用意することです。
3Dアバターの場合はVRoid Studioでキャラクターを作成し、表情や髪型、衣装を好みに合わせて調整します。
2Dアバターの場合はイラストを用意し、必要に応じてLive2D用に分割したパーツデータを制作します。
自分で制作が難しい場合は、既存のプリセットアバターや外注サービスの利用も選択肢になります。
完成したアバターは、後で使うアバター表示ソフトや配信ソフトで読み込める形式で書き出しておきます。
- VRoidで3Dモデル作成
- 2Dイラストの準備
- Live2D用パーツ分割
- 外注や素材サイトの利用
ステップ2 会話システムを構築する
次のステップでは、ChatGPT APIなどの会話エンジンと音声合成エンジンを組み合わせて、テキストから音声を生成する流れを作ります。
具体的には、視聴者のコメントや事前に用意した話題を会話エンジンに送り、返答テキストを取得したあとに音声合成へ渡します。
音声が生成できたら、アバター表示ソフトのリップシンク機能に連携し、口パクと発話タイミングを合わせます。
この一連の処理をスクリプトやツールで自動化することで、人が操作しなくてもAI VTuberが話し続けられます。
どの部分を自動化し、どこに手動操作を残すかをあらかじめ決めておくと運用設計がしやすくなります。
| 工程 | 主な役割 |
|---|---|
| コメント取得 | チャットAPIからテキスト取得 |
| 会話生成 | ChatGPT APIで返答生成 |
| 音声生成 | 音声合成ソフトで読み上げ |
| リップシンク | アバターの口パク連動 |
| ループ処理 | 一定間隔で一連の流れを繰り返す |
ステップ3 配信環境を整える
会話システムとアバターが連動するようになったら、最後に配信ソフトを使って視聴者へ届けるための画面を組み立てます。
OBS Studioでは、アバターの映像を表示するソースと、音声合成の出力を取り込むオーディオソースを設定します。
配信の解像度やビットレートは、PCスペックや回線速度に合わせて無理のない範囲に調整します。
チャット欄やコメントの表示を画面に乗せると、視聴者も会話の流れを追いやすくなります。
テスト配信で音量バランスや遅延を確認し、問題がなければ本番配信に進みましょう。
AI VTuber運用の注意点
AI VTuberは自律的に動くからこそ、著作権や利用規約、トラブル時の対応など人間側の管理が重要になります。
著作権と利用規約の確認
アバター制作ツールや音声合成ソフトにはそれぞれ利用規約があり、商用利用や配信での利用に制限がある場合があります。
VRoid StudioやVOICEVOXなどは原則無料で使える一方で、キャラクターごとに個別の規約が設定されていることもあります。
BGMや画像素材、フォントなども商用利用可能なものかどうかを事前に確認することが重要です。
ChatGPT APIなどの会話エンジンについても、規約上禁止されている用途に当てはまらないかを確認しておきます。
疑わしい場合は公式ドキュメントやガイドラインを読み込み、安全側に倒した運用を心がけましょう。
- ツールごとの利用規約確認
- 商用利用の可否確認
- 二次創作ルールの確認
- AI利用ポリシーの確認
配信品質とスペックの目安
長時間の自動配信ではPCや回線に大きな負荷がかかるため、スペックの目安や品質設定を事前に把握しておくと安心です。
フルHDで高ビットレート配信を目指すよりも、まずは720p程度で安定した配信を優先したほうが視聴体験は安定します。
CPUやGPUの使用率、メモリ使用量などをモニタリングし、限界に近い設定は避けるようにします。
表として自分の環境に合った設定をまとめておくと、別のPCに移行するときも参考になります。
配信品質のチューニングは、一度決めて終わりではなく定期的な見直しが大切です。
| 項目 | 目安の設定例 |
|---|---|
| 解像度 | 1280×720 |
| フレームレート | 30fps |
| ビットレート | 3000〜4500kbps |
| 配信時間 | 1〜2時間から開始 |
| CPU使用率 | 70パーセント未満を目標 |
トラブル対応のコツ
AI VTuber運用中は、APIエラーや音声が出ない、アバターが固まるなどのトラブルがどうしても発生します。
よくあるトラブルと対応策をメモにしておき、配信前にチェックリストとして確認すると事故を減らせます。
問題が発生したときは、まず配信ソフト、会話エンジン、音声合成、アバター表示のどこで止まっているかを切り分けます。
復旧が難しい場合は、早めに配信を終了して原因調査に切り替えるほうが視聴者のストレスを減らせます。
トラブルの内容と対処法をログとして残しておくと、次回以降の対応速度が大きく向上します。
AI VTuber制作の全体像を押さえて一歩踏み出す
AI VTuberは多くのツールや技術を組み合わせる必要がありますが、一つひとつの役割を理解して順番に組み上げていけば必ず形にできます。
最初は簡易な構成で短時間のテスト配信から始め、慣れてきたら自動配信や高度な会話制御へと段階的にステップアップしていくのが現実的です。
自分だけのキャラクターと世界観を持つAI VTuberを育てていくプロセスそのものが、大きな創作体験になります。
この記事をロードマップとして活用しながら、まずは小さな一歩を踏み出してAI VTuberの世界に参加してみてください。

