Vtuberとして活動を始める時に最初に悩みやすいのが、どんなキャラクターデザインにするかというテーマです。
顔や衣装はもちろん、色やモチーフ、世界観まで含めて方向性を決めておかないと、活動を続けるうちに「思っていたイメージと違う」と感じてしまいやすくなります。
この記事では、Vtuberのキャラクターデザインのコツを整理しながら、自作する場合にもイラストレーターに依頼する場合にも役立つ考え方をまとめます。
配信で映える実用性と、自分らしさが伝わるブランド性の両方を意識しながら、長く愛せるVtuberキャラを一緒に設計していきましょう。
Vtuberのキャラデザのコツ7選
ここではまず、Vtuberのキャラデザを考える時に必ず押さえておきたい基本のポイントを7つに整理して紹介します。
コンセプト
最初に決めるべきなのはキャラクター全体を一言で表すコンセプトです。
「未来系アイドル」「落ち着いたお姉さん」「ゲーム廃人」など、短いフレーズで言語化できるコンセプトがあると、その後のデザインの判断がぶれにくくなります。
コンセプトを決める時は、自分が配信でどんなキャラでいたいかや、視聴者にどんな印象を持ってほしいかを具体的にイメージすることが大切です。
コンセプトのメモはイラストを依頼する際の指示書にもそのまま流用できるので、早い段階でしっかり言語化しておきましょう。
世界観
次に、キャラクターがどんな世界で生きているのかという世界観を決めると、デザインの方向性が一気に固まりやすくなります。
ファンタジー世界、近未来、現代日本、学園、宇宙など、ベースとなる舞台設定を先に決めておくと、衣装や小物選びもスムーズです。
世界観の中でキャラがどんな役割を担っているのかまで考えると、職業や立ち位置が自然に浮かび上がります。
世界観設定はプロフィール文章や配信の企画内容ともつながるので、キャラデザと同時に整理しておくと後から楽になります。
ターゲット
Vtuberのキャラデザのコツとして意外と見落とされがちなのが、誰に向けて発信するキャラクターなのかというターゲットの視点です。
十代中心のライト層に刺さるデザインと、サブカルに詳しい層に刺さるデザインでは、色やシルエットやモチーフの選び方が変わります。
自分が好きな見た目だけで決めてしまうと、ターゲットの好みとズレて伸びづらくなることもあります。
「このキャラを好きになってくれそうな人はどんな人か」とイメージしながら、好まれやすいテイストを盛り込んでいくと良いでしょう。
シルエット
配信画面ではキャラクターは小さめに表示されることが多く、細かいディテールよりも全体のシルエットのほうが印象を左右します。
髪型や帽子、服のボリューム感などで輪郭に特徴を持たせると、遠目でもすぐに「あのVtuberだ」と分かりやすくなります。
シルエットがごちゃつきすぎると、立ち絵もモデリングも負担が増え、配信画面で見づらくなるので注意が必要です。
スマホの小さな画面で見た時にも形が認識しやすいかを意識すると、より強いキャラになります。
配色
Vtuberのキャラデザのコツとして重要なのが、配色を戦略的に決めることです。
メインカラーを一つ決めたうえで、それを引き立てるサブカラーやアクセントカラーを2〜3色程度に抑えると統一感が出ます。
暖色系は元気さや陽気さ、寒色系はクールさや知的さといったイメージにつながりやすいので、キャラ性と合う色を選ぶことが大切です。
ヘアカラーや衣装カラーは、後述する配信画面全体の色との相性も意識して決めるとブランド感が高まります。
モチーフ
動物や花、食べ物、職業道具など、キャラクターに一つ分かりやすいモチーフを設定しておくと覚えられやすくなります。
モチーフは衣装の模様やアクセサリー、小物などにさりげなく散りばめると、世界観に深みが出ます。
モチーフはあまりに細かくしすぎると伝わりにくいので、一つか二つに絞るのがコツです。
ファンアートを描く人にとってもモチーフは分かりやすい要素になるので、イラストに取り入れやすいものを選ぶと喜ばれます。
実用性
最後に忘れてはいけないのが、配信で実際に動かすことを前提にした実用性です。
Live2Dや3Dモデルにする際にパーツ分けが複雑になりすぎると、モデリングの工数も費用も増えてしまいます。
髪飾りやフリルなどの装飾は魅力になりますが、やりすぎると動きづらくなったり、重くなったりすることがあります。
「かわいさ」と「動かしやすさ」のバランスを取りながら、長く配信で使える実用的なデザインを目指しましょう。
Vtuber世界観設計の基本
ここからは、キャラデザの土台となる世界観や設定づくりに焦点を当てて、整えておきたい要素を具体的に見ていきます。
活動目的
世界観を決める前に、そもそもVtuberとして何を目的に活動するのかを整理することが重要です。
歌やゲーム実況や雑談配信など、メインとなる活動ジャンルによって最適なキャラクター像は変わってきます。
ライブ活動やリアルイベントを視野に入れるなら、ステージ映えするデザインを意識する必要があります。
活動目的を明確にしておくことで、世界観とキャラデザが配信の内容と矛盾しないように調整しやすくなります。
設定項目
世界観を作る時は、キャラクターのプロフィールとして押さえておきたい設定項目を一覧で整理すると考えやすくなります。
ここでは代表的な設定項目の例を表にまとめておきます。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 種族 | 人間系魔法使い |
| 見た目年齢 | 十代後半 |
| 職業 | 配信者見習い |
| 性格 | 元気マイペース |
| 口調 | フレンドリー敬語混在 |
| 得意分野 | ゲーム歌 |
人格像
設定項目が固まってきたら、そのキャラクターがどんな人格として振る舞うのかをイメージしておきます。
人格像はリスナーが感情移入しやすいかどうかに直結するため、キャラデザのコツとして特に丁寧に考えたい部分です。
考える際は次のような要素を整理しておくと、実際のトーク内容や表情の付け方にも迷いが減ります。
- リスナーへの距離感
- 喜ぶポイント
- 怒るポイント
- 弱みとして見せたい部分
- 成長していく方向性
ストーリー
キャラクターにかけている背景ストーリーがあると、見た目の説得力が増し、ファンが世界観に入り込みやすくなります。
生い立ちや現在の状況、将来の目標などを簡単な物語の形でまとめておくと、自己紹介配信やプロフィール動画にも流用できます。
壮大な物語を作る必要はなく、短いエピソードをいくつか用意しておくだけでもキャラクターに深みが出ます。
ストーリーは後から少しずつ足していくこともできるので、最初はシンプルな骨組みから始めても問題ありません。
配色設計のポイント
続いて、視覚的な印象を大きく左右する配色について、Vtuberならではの観点から整理していきます。
メインカラー
Vtuberのキャラデザのコツとして、メインカラーを一つ決めてブランドカラーとして扱う考え方があります。
メインカラーは髪や衣装の大部分に使われるため、キャラクターを象徴する色として覚えられやすくなります。
ここでは代表的な色とイメージを簡単に一覧にしておきます。
| カラー | イメージ |
|---|---|
| 赤系 | 情熱元気 |
| 青系 | 冷静知的 |
| 緑系 | 安心穏やか |
| 紫系 | 神秘大人 |
| 黄系 | 明るさ好奇心 |
サブカラー
メインカラーだけでは単調になりやすいため、全体のバランスを整えるサブカラーも決めておきます。
サブカラーはメインカラーを邪魔しない範囲で、アクセサリーや小物などにポイント使いすると効果的です。
配色のルールを作っておくと、後から新衣装を追加する際にも世界観を崩しにくくなります。
- メインカラー一色を中心に構成
- サブカラーは二色程度まで
- アクセントカラーは小面積に限定
- 肌色とのコントラストを意識
- 背景色と被らない色を選択
配信画面
キャラクター単体での配色だけでなく、実際の配信画面全体の色の中でどう見えるかも重要な視点です。
ゲーム画面やチャット欄やフレームなどがカラフルな場合、キャラ側は少しシンプルな配色にしておくと見やすさが保てます。
逆に、落ち着いた雑談配信が多い場合は、衣装側に色を足して画面全体を華やかにする方法もあります。
あらかじめ想定している配信ジャンルごとに、キャラクターの色がどう映るかをイメージしながら配色を決めましょう。
ビジュアル構成設計
ここでは立ち絵やモデル化を意識したビジュアル構成に関するポイントを、実務寄りの視点から確認していきます。
立ち絵構造
Vtuberのキャラデザを行う際には、立ち絵がどのように分割されてモデリングされるのかを意識しておく必要があります。
特にLive2Dモデルの場合、顔や髪や体や小物がそれぞれパーツとしてレイヤー分けされているほど後の調整がしやすくなります。
ここでは立ち絵を分ける際に押さえたい基本的なパーツ例を表にまとめます。
| パーツ | 内容 |
|---|---|
| 顔 | 目口眉頬 |
| 髪 | 前髪横髪後ろ髪 |
| 体 | 頭胴腕脚 |
| 衣装 | 上着ボトム装飾 |
| 小物 | 帽子アクセサリー |
モーション
キャラクターがどのように動くかをイメージしてデザインすることで、配信中の表現力を高めることができます。
表情や身体の動きを大きくつけたい場合、髪や装飾のボリュームは適度に抑えたほうが滑らかに動かしやすくなります。
モーションを想定する際には、次のような動きがどれくらい必要かを事前に考えておくとスムーズです。
- まばたきや口パク
- 首振りやうなずき
- 肩や腕の動き
- 髪やリボンの揺れ
- 表情差分の切り替え
衣装バリエーション
長期的に活動することを想定するなら、衣装バリエーションの追加を見越したキャラデザにしておくことも大切です。
ベースとなる設定やモチーフを決めておくと、季節衣装や記念衣装を作る際にも一貫性を保ちながら変化を付けられます。
最初からデザインが複雑すぎると新しい衣装を作るハードルが上がるため、ベース衣装は少し余白を残した構成にしておくと安心です。
パーカーや制服など汎用性の高いアイテムをベースにすると、複数パターンを展開しやすくなります。
配信レイアウト
キャラクターは配信レイアウトの一部として画面に配置されるため、どの位置にどのサイズで置くかもビジュアル構成の一環です。
ゲーム配信では画面端に小さく表示されることが多く、雑談配信では大きめに配置されるなど、用途ごとに想定しておくと安心です。
画面の情報量が多い場合は、キャラクター側の色や装飾を少し抑えめにすると視認性が上がります。
実際にサンプルレイアウトを作ってみて、キャラがどの程度のサイズで映るかを確認しながらデザインを調整していきましょう。
依頼準備段取り
ここからは、イラストレーターや制作会社にVtuberのキャラデザを依頼する際に押さえておきたい準備や段取りを解説します。
予算感
キャラデザを依頼する場合、どの程度の予算帯でどこまで対応してもらえるかをざっくり把握しておくと相談がスムーズになります。
細かい金額はクリエイターごとに異なりますが、用途ごとに必要なクオリティや工数のイメージを持つことが大切です。
ここではあくまで考え方の目安として、依頼内容ごとのイメージを簡単に整理しておきます。
| プラン | 目安 |
|---|---|
| 立ち絵のみ | 個人配信向けシンプル構成 |
| 立ち絵プラス表情差分 | 配信向け表情演出強化 |
| 立ち絵プラスLive2D想定 | 細かいパーツ分け前提 |
| キャラ設定プラス立ち絵 | 世界観言語化込み |
依頼書
イラストレーターにVtuberのキャラデザを依頼する際は、依頼書を作って情報を整理して伝えることが重要です。
依頼書が丁寧に作られているほど、イメージのすり合わせがスムーズに進みます。
最低限まとめておきたい項目の例をいくつか挙げておきます。
- 活動名やチャンネル名
- コンセプトフレーズ
- 世界観や背景設定
- メインカラーやサブカラー
- イメージに近い参考画像
- 使用予定の配信プラットフォーム
修正対応
どれだけ丁寧に準備しても、ラフ段階での修正相談はほぼ必ず発生します。
修正回数の上限や大きなデザイン変更の扱いなどは、事前に確認しておくとトラブルを避けやすくなります。
修正を依頼する際は、感覚的な言葉だけではなく「前髪のボリュームを少し減らしたい」など具体的な表現を心がけると伝わりやすくなります。
完成後の大幅な変更は難しいことが多いので、ラフ段階でしっかり確認する姿勢が大切です。
信頼関係
キャラデザの依頼は一度きりではなく、衣装追加やサムネイラストなど長期的な付き合いに発展するケースも多くあります。
スケジュールや報酬面を守ることはもちろん、完成物への感謝や活動報告などをこまめに伝えることで良い関係を築きやすくなります。
クリエイター側もVtuberの活動を応援したくなるような関係性ができれば、結果的により魅力的なデザインや提案をもらえる可能性が高まります。
キャラクターを一緒に育てていくパートナーという意識を持ってコミュニケーションをとることが、長く愛されるVtuber像につながります。
Vtuberのキャラデザを長く育てる視点
Vtuberのキャラデザのコツは、一度決めて終わりではなく、活動と共に少しずつ育てていく感覚を持つことにあります。
最初の段階では完璧を目指しすぎず、コンセプトや世界観や配色などの軸を固めながら、配信を通して見えてきた課題を次の衣装やアップデートで反映していくと良いでしょう。
ファンアートや視聴者の反応も参考にしつつ、自分自身が長く愛着を持てるキャラクターでいられるかを大切にすれば、自然とブランド感のあるVtuber像が形になっていきます。
コンセプトと世界観と実用性のバランスを意識しながら、あなただけのVtuberキャラクターを時間をかけて育てていきましょう。
