「配信でVTuberを始めてみたいけれど、PCスペックが足りているのか不安」という人はとても多いです。
スペックが不足したまま配信を始めると、カクつきや音ズレが起きて視聴者が離れてしまい、せっかくのモチベーションも下がってしまいます。
一方で、必要以上に高いPCを買うと無駄な出費にもつながるため、自分の配信スタイルに合ったPCスペックの目安を知ることが大切です。
ここでは配信でVTuber活動を始めるときのPCスペックの考え方から、2Dと3Dの違い、予算別のおすすめ構成、今あるPCでできる工夫まで順番に整理していきます。
配信でVTuber活動を始めるときのPCスペックの目安5ステップ
最初に、配信でVTuber活動を始めるときにPCスペックの目安を決める5つのステップを整理しておきます。
このステップを踏んでから具体的なCPUやGPUの型番を検討すると、むだなく自分に合った構成を選びやすくなります。
どんなVTuber配信をしたいか整理する
最初のステップは、自分がどんなVTuber配信をしたいのかを具体的に言語化することです。
雑談メインなのか、ゲーム実況をしたいのか、歌枠やASMRが中心なのかによって必要なPCスペックは大きく変わります。
ゲーム実況でも、ApexやVALORANTのようなFPSなのか、インディーゲームやレトロゲームなのかで負荷はまったく違います。
後から「思っていたより重い配信だった」と後悔しないように、やりたい内容を書き出して優先順位をつけておきましょう。
必要なソフトと機材を書き出す
次に、配信で使うソフトと機材を具体的にリストアップします。
配信ソフトは多くの人がOBS Studioを使いますが、そこに加えてLive2D用のVTube Studioや3D用のVCI対応ソフトなどを同時に立ち上げるかどうかで負荷が変わります。
マイク、オーディオインターフェース、ウェブカメラ、キャプチャーボードなどの機材も合わせて考えると、どの程度のUSBポート数や拡張性が必要かも見えてきます。
「配信ソフトだけ動けばいい」のか「ゲームも同時に高フレームレートで動かしたい」のかを、このタイミングで整理しておくことが重要です。
CPU性能の目安を決める
配信とVTuberモデルの表示はCPU負荷が高くなりやすいため、最初にCPUの目安を決めておくと全体の構成が組み立てやすくなります。
雑談配信や2Dモデルメインなら、IntelならCore i5クラス、AMDならRyzen 5クラス以上がひとつの目安です。
3Dモデルを使ったり、重めのゲームをしながら配信する場合は、Core i7やRyzen 7以上のクラスを検討した方が安心です。
コア数も重要で、6コア以上あるとOBSやモデル表示、ブラウザ、配信ツールを同時に動かしても余裕が生まれます。
GPU性能の目安を決める
次に、どの程度のGPU性能が必要かを決めます。
雑談メインであれば、CPU内蔵グラフィックスでも配信自体は可能な場合がありますが、Live2Dや軽い3Dモデル、ゲーム配信を考えるなら専用GPUを搭載したPCがほぼ必須です。
2Dモデルと軽めのゲーム配信なら、NVIDIAならGTX 1650〜GTX 1660 SUPER、RTX 3050クラス以上がひとつの目安とされています。
3Dモデルや最新ゲームをフルHDで快適に配信する場合は、RTX 3060〜RTX 4060以上を視野に入れておくと余裕を持って運用できます。
メモリなど周辺スペックを決める
最後に、メモリ容量やストレージ、ノートかデスクトップかといった周辺スペックを決めます。
配信とゲーム、ブラウザやコメントビューアを同時に動かすなら、メモリは最低16GB、できれば32GBあると安心です。
ストレージは高速なSSDを前提にし、OSとソフトで最低512GB、録画も残したいなら1TB以上を目安にするとよいでしょう。
ノートPCかデスクトップPCかは、持ち運びの必要性と予算、静音性や拡張性を踏まえて選びますが、同じ価格ならデスクトップの方が高性能になりやすいという特徴があります。
VTuber配信に必要なPCスペックの基本
ここからは、配信でVTuber活動をするために必要なPCスペックを、CPU・GPU・メモリ・ストレージごとに整理します。
「最低限動くライン」と「快適に運用できるライン」を分けて考えることで、自分の予算と相談しながら優先順位をつけやすくなります。
CPUの役割と性能の目安
CPUは映像のエンコードや配信ソフトの処理、VTuberモデルの制御など、配信全体の土台になる重要なパーツです。
OBSの推奨スペックでも、Core i7クラスやRyzen 5〜7クラスが示されており、一定以上の性能が求められることが分かります。
フルHD配信と軽めのゲームを組み合わせるなら、現行世代のCore i5またはRyzen 5以上を最低ラインと考えた方が安全です。
3Dモデルを使ったり、高負荷なゲームを60fpsで配信したい場合は、Core i7やRyzen 7以上のグレードを選ぶとCPU使用率に余裕が生まれます。
| 用途 | 目安になるCPUクラス |
|---|---|
| 雑談配信中心 | Core i5 / Ryzen 5 クラス |
| 2Dモデル+軽いゲーム | 6コア以上のCore i5上位 / Ryzen 5上位 |
| 3Dモデル+ゲーム配信 | Core i7 / Ryzen 7 以上 |
| 高負荷ゲーム+高画質配信 | Core i7上位〜i9 / Ryzen 7上位〜9 |
GPUが重要になる場面
GPUはゲームの描画や3Dモデルのレンダリング、NVENCなどのハードウェアエンコードで活躍するパーツです。
特にNVIDIA製GPUのNVENCを使うと、CPUではなくGPU側でエンコード処理を担ってくれるため、配信が安定しやすくなります。
内蔵グラフィックスでも雑談配信は可能ですが、2Dモデルやゲーム実況をするなら、エントリークラスでもよいので専用GPUを搭載したPCを選ぶ方が現実的です。
3Dモデルや最新ゲームを組み合わせる場合は、ミドル〜ハイエンドのGPUを検討しましょう。
- 雑談配信だけならGPU負荷は小さい
- 2Dモデル+軽いゲームでエントリーGPUが活躍
- 3Dモデルや最新ゲームはミドルレンジ以上が無難
- 録画をしながらの配信ほどGPUに余裕が必要
メモリとストレージの容量目安
メモリとストレージは「どれだけ快適に配信や準備作業ができるか」を左右する土台の部分です。
メモリが足りていないと、ゲームや配信ソフトに加えてブラウザやチャットツールを開いた瞬間にカクつきが発生しやすくなります。
ストレージは録画データやアセットを保存する場所でもあるため、最初から余裕を持った容量を確保しておいた方が長く運用しやすくなります。
特に動画編集も同じPCで行う場合は、ストレージの空き容量がパフォーマンスに直結します。
| 項目 | 推奨の目安 |
|---|---|
| メモリ容量 | 最低16GB / 余裕を持つなら32GB |
| システム用SSD | 512GB以上 |
| 録画や素材用ストレージ | 追加で1TB以上のSSDやHDD |
| 動画編集も行う場合 | 合計2TB以上あると安心 |
配信内容別のおすすめPCスペックの目安
同じVTuber配信でも、雑談メインなのか、ゲームをするのか、2Dか3Dかによって必要なPCスペックは大きく変わります。
ここでは配信内容ごとに、現実的に狙いやすいPCスペックの目安を整理します。
雑談メインのVTuber配信
雑談メインで、2Dモデルを使う程度であれば、ゲーム実況ほど高いPCスペックは必要ありません。
とはいえ、配信ソフトやコメントビューア、BGM再生など複数のソフトを同時に動かすため、ある程度の余裕は欲しいところです。
これからPCを購入するなら、最低でも下記のような構成を意識しておくと長く使いやすくなります。
| CPU | Core i5 / Ryzen 5 クラス |
|---|---|
| GPU | GTX 1650 以上または同等クラス |
| メモリ | 16GB |
| ストレージ | SSD 512GB 以上 |
| 想定配信 | 雑談配信、ラジオ配信、軽い作業配信 |
2Dモデルでゲーム配信をする場合
2Dモデルを表示しながらゲーム配信をする場合は、ゲームと配信ソフト、モデル表示ソフトの3つを同時に動かす必要があります。
FPSなど動きの激しいゲームをフルHDで配信したいなら、CPUとGPUともにワンランク上の構成を目指した方が快適です。
メモリも16GBをベースに、可能であれば32GBまで増設しておくと配信中のカクつきが起きにくくなります。
録画も同時に行うなら、ストレージの読み書き速度と空き容量にも気を配りましょう。
- CPUは6コア以上のCore i5上位やRyzen 5上位
- GPUはRTX 3050〜RTX 3060クラスを目安
- メモリ16〜32GBで余裕を持たせる
- SSDは1TB以上あると録画も安心
3Dモデルとゲームを組み合わせる場合
3Dモデルとゲームを同時に動かす場合、CPUとGPUの両方に高い負荷がかかります。
リアルタイムのライティングや物理演算、フルトラッキングなどを使うと、2D配信よりも一段上のスペックが必要になります。
長時間配信を見据えるなら、余裕のあるミドル〜ハイエンド構成を検討した方が、後悔しにくい構成になります。
可能であれば、配信と録画を別PCに分ける「デュアルPC配信」も選択肢になりますが、まずはシングルPCで運用できるラインを押さえておきましょう。
| CPU | Core i7 / Ryzen 7 以上 |
|---|---|
| GPU | RTX 3060〜RTX 4060 以上 |
| メモリ | 32GB 以上 |
| ストレージ | NVMe SSD 1TB 以上 |
| 想定配信 | 3Dモデル+FPSなどのゲーム配信 |
動画編集やサムネ作成も行う場合
配信だけでなく、切り抜き動画の編集や高解像度のサムネ作成も同じPCで行う場合は、さらに余裕のある構成を意識したいところです。
特に動画編集ソフトはメモリとストレージを大量に使うため、配信だけを基準にPCスペックを決めると、編集時にストレスを感じやすくなります。
配信と編集をどちらも快適にこなしたいなら、後からメモリやストレージを増設できるデスクトップPCが有利です。
最初から編集込みで考えることで、買い替えタイミングを先送りにできるメリットもあります。
- 動画編集用にメモリ32GB以上を想定
- プロジェクト用に別ドライブを用意
- 書き出し時間短縮のためCPUも上位グレード
- GPU支援のある編集ソフトならミドルGPU以上
予算別に見たVTuber配信向きPCの選び方
具体的なPCを選ぶ段階では、予算感とやりたい配信内容のバランスを取ることが重要です。
ここではおおまかな予算帯ごとに、どの程度のPCスペックを目指すと良いかの目安を整理します。
10万円前後でVTuber配信を始める場合
10万円前後の予算では、すべてを満たすハイエンド構成は難しいものの、工夫すれば雑談配信や軽いゲーム配信を始めることは可能です。
この価格帯では、BTOメーカーのエントリーゲーミングPCや、セール対象のミドルクラスノートPCが選択肢になります。
「最初は雑談メインで、徐々に環境を整えていく」という方に向いた予算帯と言えます。
ただし、後からメモリやストレージを増設できるかどうかは必ず確認しておきましょう。
| CPU | Core i5 / Ryzen 5 クラス |
|---|---|
| GPU | GTX 1650〜RTX 3050 クラス |
| メモリ | 16GB(増設前提) |
| ストレージ | SSD 512GB 前後 |
| 向いている配信 | 雑談配信、軽いゲーム配信 |
15〜20万円で余裕を持たせる場合
15〜20万円の予算があれば、2Dモデルのゲーム配信から、軽めの3Dモデル配信まで幅広く対応できるPC構成を狙えます。
このあたりの価格帯は、VTuber配信向けとして紹介されるゲーミングPCでもメインとなるゾーンです。
将来的に動画編集やより重いゲームにも挑戦したいなら、メモリ32GBにアップグレードできるモデルを選んでおくと安心です。
ノートPCを選ぶ場合は、冷却性能とキーボードの打ち心地、画面の色再現性なども合わせて確認しておきましょう。
- RTX 4060 クラスのGPU搭載モデルが狙い目
- メモリ16GB構成でも後から32GBに増設できるか確認
- ストレージは1TB SSD構成が理想的
- 配信と軽い編集まで1台でこなせる
20万円以上で長く使う構成を目指す場合
20万円以上の予算があれば、3Dモデル配信や最新ゲーム実況、高画質録画まで見据えた余裕のある構成を組みやすくなります。
CPUはCore i7やRyzen 7の上位モデル、GPUはRTX 4070クラス以上を選ぶことで、数年先でも現役で活躍できるマシンを目指せます。
同時視聴者数が増え、配信のクオリティをさらに上げていきたい人や、編集負荷の高い企画動画を作りたい人に向いた選択肢です。
このクラスでは、電源や冷却などの品質も重要になるため、レビューやメーカーの評判も必ず確認しましょう。
- CPUはCore i7上位〜i9、Ryzen 7上位〜9
- GPUはRTX 4070クラス以上で長期運用を想定
- メモリ32GB標準、必要に応じて64GBも検討
- 高速なNVMe SSDを1TB以上搭載
BTOかメーカー製か中古かを選ぶときの考え方
同じ予算でも、BTOかメーカー製か、中古PCを選ぶかによって手に入るスペックや保証内容は変わります。
BTOはコスパと拡張性に優れる一方で、納期や初期不良時の対応などもチェックしておきたいポイントです。
メーカー製はサポートの安心感があり、中古は価格的な魅力があるものの、配信で長時間負荷をかける用途では寿命とのバランスも考慮が必要です。
どの選択肢を選ぶ場合でも、配信ソフトやVTuberツールの推奨スペックを満たしているかを必ず確認するようにしましょう。
- BTOはコスパと拡張性が強み
- メーカー製はサポートと安定性が魅力
- 中古は保証と寿命を必ず確認
- 推奨スペックを下回らないことが最優先
今あるPCでVTuber配信を試すときの工夫
「いきなり新しいPCを買うのは不安」という場合は、まず今使っているPCでどこまでVTuber配信ができるか試してみるのも良い方法です。
その際は、スペックの確認や設定の工夫をすることで、想像以上に快適に配信できるケースも少なくありません。
自分のPCスペックを確認する方法
最初に、今使っているPCのスペックを正しく把握することが重要です。
Windowsならシステム情報やタスクマネージャーからCPUやメモリ、GPUを確認でき、Macなら「このMacについて」から概要を把握できます。
型番が分かったら、各種サイトでベンチマークや世代を調べると、自分のPCがどのくらいの性能なのかイメージしやすくなります。
配信テスト中はタスクマネージャーやアクティビティモニタでCPUやGPU、メモリの使用率を確認し、どこがボトルネックになっているかも合わせてチェックしましょう。
- OS標準機能でCPUとメモリを確認
- GPUの型番と搭載有無を確認
- ベンチマークサイトで性能の目安を知る
- 配信テスト中の使用率も併せて見る
OBSの設定を軽くするポイント
PCスペックがぎりぎりの場合でも、OBSの設定を調整することで配信を安定させられる場合があります。
具体的には、解像度とフレームレート、ビットレート、エンコード方式の4つを中心に調整すると効果的です。
画質を少し下げても、配信がカクカクしないことの方が視聴者にとっては重要なケースも多いです。
特に雑談配信や作業配信であれば、1080pから720pに解像度を下げても十分見やすいことがほとんどです。
| 項目 | 軽くするための設定例 |
|---|---|
| 解像度 | 1920×1080 → 1280×720 |
| フレームレート | 60fps → 30fps |
| ビットレート | 6000kbps → 3000〜4500kbps |
| エンコード方式 | x264 → NVENCなどのハードウェアエンコード |
モデルやゲーム側の負荷を下げる工夫
配信ソフトだけでなく、モデルやゲーム側の設定を調整することで全体の負荷を下げることもできます。
Live2Dモデルなら物理演算の強さを少し下げたり、3Dモデルなら影の品質やポストエフェクトを軽くすることで負荷を抑えられます。
ゲーム側も、解像度やグラフィック設定を「中」や「低」にすることで、体感のなめらかさが大きく変わるケースが多いです。
視聴者は「超高画質」よりも「カクつかないこと」を重視することが多いため、見やすさと安定性を優先して調整していきましょう。
- モデルの物理演算やエフェクトを控えめにする
- ゲームの解像度や描画設定を一段階下げる
- ウィンドウモードやフルスクリーンを試して差を比較
- 不要な常駐ソフトを終了しておく
限界を感じたときの買い替えタイミング
工夫をしてもカクつきや音ズレが頻発する場合は、PCスペック自体が限界に達しているサインかもしれません。
特に、配信中にCPUやメモリ使用率が常に90%以上になっていたり、温度が高止まりしている場合は、無理に使い続けると寿命を縮めてしまう可能性もあります。
その場合は、「どの配信内容を優先したいのか」を改めて整理し、予算帯に応じて必要なPCスペックを再検討しましょう。
一度限界を感じてから買い替えた方が、自分にとって必要な性能が明確になっているため、納得感のあるPC選びがしやすくなります。
- 常に高い使用率なら買い替え検討のサイン
- やりたい配信内容を軸に必要スペックを再整理
- 予算別の目安に合わせて候補を絞る
- 余裕のある構成は長期的なコスパも良い
PCスペックを味方にして無理なくVTuber配信を続けるコツ
配信でVTuber活動を始めるときのPCスペックは、配信内容と予算、将来どこまでやりたいかによって最適解が変わります。
雑談メインならミドルクラスのPCでも十分ですが、2Dや3Dモデルでゲーム実況をしたい場合は、CPUとGPU、メモリに余裕のある構成を目指した方が快適です。
今あるPCで工夫しながら始めてみて、「どの場面で重くなるのか」「どんな配信をしているときが一番楽しいのか」を確かめてから、次のPCを検討するのも良い選び方のひとつです。
自分のスタイルに合ったPCスペックを見極めて、無理なく続けられるVTuber配信環境を整えていきましょう。

