ソニーのモバイルモーションキャプチャーであるモコピを使えば、自宅でも屋外でも全身トラッキングでVTuberとして動くことができます。
従来の光学式モーションキャプチャーと比べて価格や設置のハードルが低く、個人でも導入しやすいのが大きな魅力です。
一方で、IMU方式ならではのずれや対応環境の制限もあり、特徴を理解して選ぶことが大切です。
ここではモコピでVTuberの全身トラッキングを始めるための手順と、メリットや注意点、配信への活用例までをまとめて解説します。
これからVTuberデビューを考えている人も、すでに活動中で全身トラッキングを導入したい人も、自分に合った使い方をイメージしながら読み進めてみてください。
モコピでVTuberの全身トラッキングを始める手順7つ
まずはモコピでVTuberの全身トラッキングを始めるまでの全体像を手順として整理し、何を準備しどう進めればよいかを俯瞰していきます。
手順1 モコピの基本
モコピはソニーが販売する小型軽量のモーションキャプチャーデバイスで、頭や手首、腰、足首に合計6個のセンサーを装着して全身の動きを記録します。
専用のスマートフォンアプリやPCアプリと組み合わせることで、アバターにリアルタイムで動きを反映させたり、モーションデータを記録したりできます。
価格は数十万円クラスだった従来のフルボディトラッキングよりも大幅に抑えられていて、個人VTuberでも手が届きやすい水準になっています。
モコピ自体は「全身の動きを送る機材」であり、アバター表示や配信には別途アプリやソフトウェアが必要になる点を理解しておきましょう。
手順2 準備する機材
モコピでVTuberとして活動するには、モコピ本体に加えていくつかの機材やソフトウェアを揃える必要があります。
最低限必要なものと、配信スタイルによって追加したいものを整理しておくと、導入後のトラブルを減らせます。
ここでは一般的なVTuber配信を想定した機材構成の例を挙げるので、自分の環境と照らし合わせながら優先度を決めてみてください。
最初はスマホだけでスタートし、慣れてきたらPCや周辺機器を追加していく段階的な導入も現実的です。
- モコピ本体一式
- 対応スマートフォン
- 安定したネット回線
- PC配信をする場合のパソコン
- 配信用ソフトウェア
- マイクやオーディオインターフェース
手順3 アバターの用意
モコピでVTuberの活動をするには、自分の分身となる3DアバターやLive2Dモデルを用意する必要があります。
3Dアバターの場合はVRM形式に対応したモデルであれば、モコピのスマホアプリや連携アプリに読み込んで使うことができます。
自作が難しい場合は、配布されているフリーアバターや購入できる既製モデルを利用するのも現実的な選択肢です。
Live2Dモデルで活動したい場合は、モコピで取得した全身モーションを対応ソフト側に送って活用する形になる点を意識しておきましょう。
手順4 センサー装着
モコピの準備ができたら、頭、両手首、腰、両足首など指定された位置にセンサーを装着していきます。
付属のバンドやクリップを使ってしっかり固定しないと、プレイ中にずれたり落ちたりしてトラッキング精度が一気に悪化してしまいます。
装着時にはセンサーの向きや位置をできるだけ左右対称にそろえ、毎回同じ位置に付ける習慣をつけると安定しやすくなります。
センサー装着後はアプリの指示に従ってキャリブレーションを行い、基準姿勢を登録することで正しい姿勢でのトラッキングが可能になります。
手順5 スマホアプリの設定
モコピのスマホアプリではセンサーとのペアリング、アバター選択、キャリブレーション、モーションの録画やストリーミング設定などを行います。
初回はBluetooth接続の設定やセンサーの登録に時間がかかるかもしれませんが、アプリ側のガイドに従えば流れは比較的わかりやすいです。
アバターを選択したら、実際に動いてみて手足の位置や向きがおかしくないか、歩いたときに足が滑っていないかを事前にチェックしておきましょう。
録画モードと配信連携モードのどちらを使うかもここで選ぶため、自分の目的に合わせて設定を保存しておくとスムーズに使い回せます。
手順6 PC連携
PCを使ってVTuber配信をする場合は、モコピのモーションデータをPC側のソフトに送る設定が必要です。
モコピのPCアプリやセンサーデータレシーバーを利用すれば、スマホを介さずに直接PCへモーションを送る構成も選べます。
Virtual Motion CaptureやVTube Studio、Warudoなどと連携して3DアバターやLive2DモデルをPC上で動かし、OBSなどの配信ソフトに映像を渡すのが一般的な流れです。
遅延やパケットロスを減らすために、有線接続や安定したWiFi環境を用意することも重要なポイントになります。
手順7 配信と録画
モコピとアバター、配信ソフトの連携ができたら、あとはシーン構成やレイアウトを整えて実際に配信や録画を行います。
配信前には15分ほどテスト配信を行い、動きのずれやカメラの構図、音量バランスなどを確認しておくと本番でのトラブルを減らせます。
モコピは長時間利用でセンサーのずれが起きることがあるため、休憩のタイミングでキャリブレーションを挟む運用を前提にしておくと安心です。
配信後は録画した映像やモーションデータを見返し、動きやカメラワーク、しゃべり方などを改善していくことでVTuberとしての表現の幅が広がっていきます。
モコピでVTuber活動をするメリット
ここではモコピを使ってVTuber活動を行うときの主なメリットを整理し、他のトラッキング方法と比べたときの強みを明確にしていきます。
コストのハードルの低さ
モコピは従来のフルボディトラッキング用機材と比べると価格が抑えられており、個人のVTuberでも現実的な初期投資で導入しやすい点が大きな魅力です。
高価な光学式カメラシステムや複数のVRトラッカーを揃える必要がなく、基本的にはモコピ一式と対応スマートフォンがあれば始められます。
追加でPC配信環境を整える場合でも、すでにゲームや作業用のPCを持っている人なら流用できるケースが多く、ゼロからの構築より負担は軽くなります。
下の表ではモコピを中心に、代表的なフルボディトラッキング環境との費用感の違いをイメージしやすく整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モコピ本体価格 | 数万円台のモーションキャプチャーデバイス |
| 必須機材 | モコピ一式と対応スマートフォン |
| 追加機材の例 | PC配信環境やマイクなど |
| 想定初期費用 | 他のフルトラ環境より低めの投資額 |
小型軽量で扱いやすい
モコピのセンサーは小型で軽量なため、長時間装着していても身体への負担が比較的少なく、衣装や衣服との干渉も起きにくい設計になっています。
センサー数も6個と必要最低限にまとまっているため、装着にかかる時間や準備の手間を短縮しやすいのも実用的なポイントです。
大型のスタジオや専用スペースを用意しなくても、一般的な自宅の部屋で完結できることは個人VTuberにとって大きなメリットになります。
特に撮影スペースを確保しづらいワンルームやシェアハウス環境でも活用しやすく、活動を始める心理的ハードルを下げてくれます。
- センサーが小型で取り回しやすい
- 装着点が少なく準備時間を短縮しやすい
- 自宅の限られたスペースでも導入しやすい
- 片付けや持ち運びが容易
屋外撮影や出張収録に強い
モコピはカメラに依存しないIMU方式のトラッキングデバイスのため、屋外やスタジオ以外の場所でも使いやすいのが特徴です。
VRゴーグルや大がかりな設営を必要としないので、イベント会場や学校、企業のオフィスなどでもVTuber体験会や撮影を行いやすくなります。
顔出しをしたくないクリエイターでも、屋外ロケの映像にアバターを合成して動画コンテンツを作るといった使い方がしやすい点もメリットです。
配信だけでなく、PR動画やミュージックビデオ制作など幅広い用途に応用できるポータビリティはモコピならではの強みといえます。
初心者にもわかりやすいUI設計
モコピのスマホアプリやPCアプリは、セットアップ手順やキャリブレーション方法が画面上で丁寧に案内されるように設計されています。
専門的な3DソフトやVR機器に触れたことがない人でも、アプリのガイドに沿っていけば基本的なトラッキング環境を構築しやすいのが特徴です。
高度な設定を行わなくても標準状態である程度のクオリティが出るため、最初の一歩として導入しやすいモーションキャプチャーデバイスといえます。
慣れてきたら外部アプリとの連携やPC側での細かい設定にも手を伸ばし、自分好みのワークフローに組み込んでいくことができます。
モコピでVTuberをするときの注意点
続いて、モコピでVTuber活動を行う際に意識しておきたい弱点や注意点をまとめ、どのような使い方なら向いているのかを整理していきます。
長時間利用でのずれ
モコピはIMUセンサーを用いたトラッキング方式のため、長時間利用を続けると少しずつ姿勢や足元の位置がずれていく傾向があります。
足が滑るような挙動や、体全体が少しずつ横に流れていくような動きが出た場合は、いったんキャリブレーションをやり直す必要があります。
連続で数時間配信する場合には、区切りの良いタイミングで一度配信を止めて調整する運用を前提に計画しておくと安心です。
短時間の収録を複数回に分けるなど、ずれを前提にした撮影プランを組むことで、モーションの品質を安定させやすくなります。
- 1時間程度で様子を確認する
- 気になったら早めにキャリブレーションを実施
- 長時間配信は休憩を挟む前提で計画する
- ダンスなど激しい動きは短めのカットで撮影する
激しい動きへの不向き
モコピは日常動作や軽いダンス、雑談配信などには十分な性能を持っていますが、本格的なダンスや激しいアクションには向かない場面もあります。
足さばきが細かいダンスや、ジャンプを多用する振り付けでは、足元のトラッキングが乱れたりキャラクターが不自然な姿勢になることがあります。
高精度なモーションキャプチャーを求める映像制作や、プロダンサーによる本格的なパフォーマンスには光学式や別のトラッカーを検討したほうがよいケースもあります。
モコピを使う場面を「普段の配信や簡単なダンス中心」と割り切ることで、得意な領域を活かしながら無理のない運用ができるようになります。
対応機種と環境の制限
モコピをスマートフォン単体で使う場合は、対応OSや対応機種の条件を満たしている必要があり、古い端末ではアプリが動作しない可能性があります。
PC側で利用する際も、推奨スペックを下回る環境ではモーションの伝送や配信処理が重くなり、カクつきや遅延が起きやすくなります。
また、WiFiの品質が悪いとモーションデータの送信が不安定になり、アバターの動きが急に止まるなどのトラブルが発生することもあります。
導入前に手持ちのスマホやPCが推奨環境を満たしているかを確認し、必要に応じて有線接続やルーターの見直しなども検討するとよいでしょう。
- 対応スマートフォンの条件確認
- PCのCPUとGPUの性能確認
- 安定したWiFiまたは有線LANの準備
- バックグラウンドアプリの負荷軽減
他方式との比較
モコピは「導入しやすさ」に強みがある一方で、光学式やVRトラッカー方式のフルボディトラッキングとは得意分野が異なります。
VRChatでの高い没入感や本格的なプロダクション用途を重視する場合には、他のトラッキング方式を選んだほうが満足度が高いこともあります。
自分が何を優先したいのかを整理し、モコピをメインにするか、別の方式と併用するかを検討することが重要です。
以下の表では代表的なトラッキング方式の特徴を簡単に比較し、モコピの立ち位置をイメージしやすくまとめます。
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| モコピ | 導入が簡単で価格も抑えめのIMU方式 |
| VRトラッカー | VRヘッドセット前提で没入感が高い方式 |
| 光学式 | 高精度だがスタジオ前提の本格的な方式 |
| カメラベース | Webカメラだけで手軽に部分トラッキング |
モコピを使ったVTuber配信と制作の具体例
ここからは、モコピを使って実際にどのようなVTuber配信やコンテンツ制作ができるのか、具体的な活用パターンをイメージしながら紹介していきます。
スマホだけの簡単配信
モコピはスマートフォンだけでも全身トラッキングとアバター表示が可能なため、PCを持っていない人でもVTuberとしての活動を始められます。
スマホでアバター画面を映し、そのまま配信アプリや画面共有機能を使って配信する構成なら、必要な機材を最小限に抑えられます。
カメラを固定して立ち位置を決めておけば、雑談配信やリアクション配信などは十分に成立し、モコピの強みを手軽に体験できます。
外出先から短時間の企画配信を行うなど、フットワークの軽いVTuber活動にも相性の良いスタイルです。
- スマホとモコピだけで完結
- PC不要で初期コストを抑えられる
- 外出先からの配信にも対応しやすい
- 短時間の企画配信に向いている
PC配信ソフトとの連携
PCを活用することで、モコピのモーションを配信ソフトに取り込み、よりリッチな画面構成や演出を行うことができます。
OBSなどの配信ソフトと組み合わせれば、ゲーム画面や資料スライドとアバター映像を同時に表示することも容易になります。
VTube StudioやWarudoと連携すれば、Live2Dモデルや3Dアバターを自由に配置し、背景や照明を細かく調整した番組風の配信も可能です。
スマホアプリとPC間の連携が強化されたことで、モコピを中心としたVTuber配信環境の選択肢も年々広がっています。
| ソフト名 | 役割のイメージ |
|---|---|
| OBS | 配信画面の合成と配信管理 |
| VTube Studio | Live2Dモデルの表示と制御 |
| Warudo | 3Dアバターのスタジオ構築 |
| 配信アプリ | マルチプラットフォーム配信の補助 |
VRChatやメタバースでの活用
モコピはVRChatなどのメタバースサービスと連携してフルボディトラッキングを行うこともでき、バーチャル空間での身体表現を大きく広げてくれます。
ただし、没入感や細かな動きの再現度という観点では、専用トラッカーを使った構成に比べて劣る部分があるため、用途を見極めることが重要です。
友人との交流やイベント参加、軽い撮影など、カジュアルな楽しみ方をメインにするならモコピの手軽さが大きく活きてきます。
本格的なVRChatダンス勢を目指す場合は、モコピを入口として試しつつ、満足度に応じて別のトラッキング環境を検討する流れが現実的です。
収録用モーションキャプチャー
モコピで取得したモーションデータを3Dソフトや動画編集ソフトに取り込めば、ミュージックビデオやショートアニメなどの制作にも活用できます。
短いカットごとにキャリブレーションを挟めば、ずれの影響を抑えながら安定したモーションを収録しやすくなります。
VTuberとしての生配信だけでなく、録画コンテンツや企画動画を増やしたい人にとっても、モコピは有効な制作ツールになります。
モーション収録を繰り返してライブラリ化しておけば、歌ってみた動画やショート動画などで再利用しやすく、制作効率の向上にもつながります。
モコピでVTuberの全身トラッキング環境を選ぶときの考え方
モコピは「導入のしやすさ」と「持ち運びやすさ」に強みがあるモーションキャプチャーデバイスであり、雑談配信や軽いダンス、屋外ロケなどと非常に相性が良い選択肢です。
一方で、長時間配信や高精度なダンス撮影などには向き不向きがあり、自分のVTuber活動で何を重視するのかを整理したうえで導入を検討することが大切です。
まずはスマホとモコピだけのシンプルな構成から始め、必要に応じてPCや配信ソフトとの連携を追加していく段階的なステップアップがおすすめです。
自分の目指す表現や配信スタイルとモコピの特徴を照らし合わせながら、無理のない範囲で全身トラッキングの楽しさを取り入れていきましょう。

