VTuberをAIで作りたいけれど何から手を付ければいいのか分からない人は少なくありません。
最近はAIイラストや会話エンジンの進化によって、制作費を抑えながら短期間でVTuberデビューすることができるようになりました。
一方で著作権や利用規約の問題、コミュニティからの印象など、知らないまま始めると後からトラブルになるポイントも増えています。
ここではVTuberをAIで作る手順と必要なツール、そして安全に運用するための注意点までを順番に整理して解説します。
VTuberをAIで作る7ステップ
まずはVTuberをAIで作るときの全体像を七つのステップとして整理し、やるべきことをイメージしやすくします。
目的とコンセプトを決める
最初のステップはどんなVTuberとして活動したいのかを言語化してコンセプトを固めることです。
ゲーム配信なのか雑談メインなのか、ショート動画中心なのかによってキャラクターデザインや必要な機能が変わってきます。
性別や年齢イメージ、世界観、口調などを簡単なメモに落とすと後のAIプロンプト設計がぐっとやりやすくなります。
将来的に収益化やコラボを狙うのであれば、他のVTuberと被りにくい差別化ポイントを一つ決めておくと良いでしょう。
AIイラスト生成ツールを選ぶ
次にキャラクタービジュアルを作るためのAIイラスト生成ツールを選びます。
Stable Diffusion系のツールや商用サービスを使えば、絵が描けない人でもオリジナルキャラクターの立ち絵を短時間で作成できます。
無料で試せるものからサブスクリプション型まで幅広く存在するため、商用利用範囲や利用規約を必ず確認しておきましょう。
日本語プロンプトに対応しているかどうかも、初心者にとっては重要な選定ポイントになります。
プロンプトでキャラクターデザインを固める
ツールを決めたら、プロンプトでどのような見た目のVTuberにするかを指定していきます。
髪色や髪型、目の色、服装、雰囲気など、外見に関する条件を数個の要素に絞って指定するとAIの良さを活かしやすくなります。
逆に細かい注文を詰め込みすぎると不自然な画像になりやすいため、核となる特徴だけを決めてあとはAIの想像力に任せるのがコツです。
何枚か生成してみて、気に入ったものをベースに微調整のプロンプトを投げることで、完成度を少しずつ高めることができます。
立ち絵をVTuberモデル用に調整する
AIで生成した一枚絵をそのまま配信用に使うのではなく、VTuberモデルとして扱いやすい形に整える工程が必要です。
二次元モデルの場合はCLIP STUDIO PAINTなどのペイントソフトを使い、髪や目、口などのパーツごとにレイヤーを分割していきます。
三次元モデルの場合はVRoid Studioなどのツールを使って、AIイラストを参考にしながら立体アバターとして作り直す方法もあります。
この作業は時間がかかりますが、表情差分や瞬きなどの動きを自然に見せるための土台になる重要な工程です。
Live2Dや3Dアバターに変換する
パーツ分けが終わったら、Live2D Cubismなどの専用ソフトでモデルに動きを付けます。
二次元モデルならパラメータを設定して、表情や首振り、体の揺れなどをスライダーで調整していきます。
三次元モデルの場合はボーンやブレンドシェイプを設定し、表情やポーズが破綻しないように調整します。
最近では一枚絵から自動で顔の動きを生成するAIツールも登場しており、細かい設定を省略した簡易的なVTuberモデルも作れるようになっています。
配信ソフトと連携して動かす
モデルが完成したらOBS Studioなどの配信ソフトに読み込み、実際に画面上で動かしてみます。
Webカメラやスマホアプリで表情や頭の動きをトラッキングし、VTuberモデルと連動させることで生配信に耐えられる挙動かを確認します。
背景画像やコメント欄のレイアウトもこの段階で整えておくと、見やすい配信画面を作りやすくなります。
テスト配信を非公開で何度か行い、カメラ位置やライトの当たり方なども含めて微調整しましょう。
AI音声や会話エンジンを組み合わせる
人間の声ではなくAI音声にしたい場合は、音声合成ソフトやクラウドのテキスト読み上げサービスを組み合わせます。
さらにチャット欄のコメントを自動で読み取り、会話エンジンに渡して返答を生成する構成にすれば、AI VTuberとして半自動的に配信するスタイルも実現できます。
常に完全自動にするのではなく、配信テーマや時間帯に応じて「人間が話す回」「AIに任せる回」を切り替える運用も検討すると安心です。
AIに任せる範囲をあらかじめ決めておくことで、不適切な発言やトラブルのリスクを軽減できます。
AIで動くVTuberの仕組み
ここからはAIを活用したVTuberの裏側でどのような仕組みが動いているのかを、モデル生成と配信の二つの観点から整理します。
AIイラスト生成とモデル化の流れ
AIでVTuberの見た目を作る場合、多くのケースでイラスト生成からモデル化まで一連のパイプラインが組まれています。
ざっくりとした役割分担を表にすると、どの工程でどのツールが必要になるのかがイメージしやすくなります。
| 工程 | キャラクター案出し |
|---|---|
| 主な作業 | 性格や世界観の整理 |
| AI活用例 | プロンプト作成支援 |
| 画像生成 | AIイラスト作成 |
| モデル準備 | パーツ分けや下絵調整 |
| リギング | Live2Dや3D設定 |
| 配信準備 | OBSや配信画面構築 |
実際には一人で全てをこなす場合もあれば、一部を外注しながら進める場合もあり、人によって工程の分担は柔軟に変えられます。
AI VTuberと従来VTuberの違い
AIを活用したVTuberと従来のVTuberでは、キャラクターを動かす主体や配信スタイルが大きく異なります。
違いを理解しておくと、自分がどこまでAIに任せたいのかを考えやすくなります。
- 常に人間が喋るモデル
- AIが台本を作るモデル
- AIが返答だけを担当するモデル
- 完全自動のAI VTuberモデル
- 動画だけAI生成のモデル
自分の負担を減らすためにAIを使うのか、AIならではのキャラクター性を前面に出したいのかで、採用する構成も変わってきます。
よくある制作パターン
現場でよく見られるのは、イラスト生成だけAIに任せて、その後のモデル化や配信は従来の手順で行うハイブリッド型のスタイルです。
一方で、会話や台本生成にもAIを使い、配信者は管理や企画に専念する半自動型のチャンネルも増えつつあります。
最近はブラウザだけでAIアバター配信まで完結できるサービスも登場しており、専用ソフトをインストールしなくてもAI VTuberを試せる環境が整いつつあります。
自分のスキルセットや予算、どれくらいの頻度で配信したいかを踏まえて、無理のない制作パターンを選ぶことが大切です。
AIイラストでVTuberモデルを作るコツ
ここではAIイラストを使ってVTuberのモデルを作る際に、デザイン面と権利面の両方で押さえておきたいポイントをまとめます。
プロンプト設計のポイント
AIイラストのクオリティはプロンプトの書き方に大きく左右されるため、最初に基本的な型を作っておくと効率的です。
重要なのは「必ず入れたい要素」と「入ると嬉しい要素」を分けて書き、核となる情報を埋もれさせないことです。
髪色や髪型、目の色、服装、雰囲気などの外見情報はシンプルな単語に分解し、長い説明文ではなくキーワード列として整理していきます。
背景や小物はあとから別レイヤーで追加できるため、最初はキャラクターの顔と体のバランスが崩れていないかだけに集中すると失敗が減ります。
- 髪色や髪型などの必須情報
- 目の色や瞳の印象
- 服装のテイスト
- 全体の雰囲気
- 避けたい要素やNGモチーフ
著作権リスクを避けるデザイン
AIで生成したイラストであっても、元となる学習データや構図が他者の作品に酷似しているとトラブルの原因になります。
特に有名アニメキャラクターや人気VTuberに寄せたデザインは、著作権や商標権の観点から避けるのが安全です。
完全にオリジナルにすることは難しくても、髪型や配色、衣装のモチーフを意識的にずらすことでリスクを下げることができます。
| 避けたいデザイン | 有名キャラそっくり |
|---|---|
| 安全に近づく工夫 | 配色や髪型を変更 |
| 参考にする対象 | 抽象的なテーマ |
| チェックしたい点 | ロゴやマークの類似 |
| NGになりやすい例 | 公式衣装のコピー |
リスクが心配な場合は、生成した画像をそのまま使うのではなく、イラストレーターにリデザインを依頼してオリジナル性を高める方法も検討すると安心です。
画像生成ツールの選び方
AIイラストツールを選ぶときは、画質やスタイルだけでなく、商用利用の可否やクレジット表記の義務なども必ず確認しましょう。
オープンソース系のモデルをローカル環境で動かす場合は、自分で学習データや追加モデルの出どころを把握しておくことが大切です。
クラウドサービスを使う場合は、利用規約で「生成画像の権利」と「禁止されている用途」を読み飛ばさないようにします。
あとからマネタイズや企業案件を受ける可能性があるなら、最初からビジネス利用に耐えられるサービスを選んでおくと後悔しにくくなります。
AI VTuber配信に必要な要素
AIで作ったVTuberモデルを実際に配信で動かすためには、会話エンジンや音声合成、配信ソフトなど複数の要素を組み合わせる必要があります。
会話エンジンとチャット連携
AI VTuberとしてコメントに自動で返答したい場合は、チャット欄の取得とテキスト生成を組み合わせる構成を考えます。
YouTubeや配信プラットフォームのAPIでコメントを取得し、それを会話エンジンに渡して返答テキストを生成する仕組みがよく使われます。
返答テキストをさらに音声合成エンジンに渡して読み上げてもらえば、画面上ではVTuberが自律的に会話しているように見せることができます。
ただし全てを自動化すると暴走するリスクがあるため、配信者が最終チェックできるモードやNGワードフィルタを必ず用意しておくと安心です。
- コメント取得用のAPI
- 会話エンジンやLLM
- NGワードフィルタ
- テキストキュー管理
- 緊急停止ボタン
音声合成と声の作り方
AI VTuberの声をどうするかは、チャンネルの印象を大きく左右する重要な要素です。
無料の合成音声エンジンから商用ライセンスを取得できるクラウドTTSまで、選択肢は年々増え続けています。
どのタイプを使うかは、予算や配信頻度、声の個性をどれだけ作り込みたいかによって変わります。
| 音声タイプ | 無料合成音声 |
|---|---|
| 特徴 | 導入コストがゼロ |
| 向いている用途 | 趣味配信や検証 |
| 別の音声タイプ | クラウドTTS |
| 別の特徴 | 高品質で多言語 |
| 別の用途 | 長時間配信や収益化 |
どの音声を選んだ場合でも、利用規約に沿った使い方を徹底し、配信画面の説明欄などで使用中の音声エンジンを明記しておくと視聴者にも誠実な運用になります。
OBSや配信プラットフォーム
配信ソフトとしてはOBS Studioのような定番ソフトを使うケースが多く、VTuberモデルをシーンとして配置して配信プラットフォームに映像を送ります。
解像度やビットレートなどの配信設定は、視聴者側の回線やデバイスを想像しながらバランスを取る必要があります。
AIを多用する構成ではPCへの負荷も大きくなりがちなので、CPUやGPUの負荷をモニタリングしながら設定値を調整することが重要です。
最初は低い設定から始めて、カクつきがないことを確認しながら少しずつ画質を上げていくと安定した配信につながります。
AI生成VTuberを運用するときの注意点
AIで作ったVTuberを継続的に運用していくためには、権利面だけでなくコミュニティとの向き合い方や収益化の設計も含めて慎重に考える必要があります。
著作権と利用規約の考え方
AI生成だから安全というわけではなく、元の作品や学習データに由来する権利トラブルが実際に問題視されています。
生成AIによる無断利用に対して訴訟費用をクラウドファンディングで集める動きもあり、クリエイター側の警戒感は年々高まっています。
VTuber界隈でもAI画像の扱いに慎重な意見が多く、事務所や企業によってはガイドラインで制限を設けているケースもあります。
| 確認したい権利 | 著作権 |
|---|---|
| 別に確認したい権利 | 商標権 |
| サービス側の規約 | 生成物の権利帰属 |
| 禁止されがちな例 | 公序良俗に反する利用 |
| 運用時のポイント | ガイドラインの遵守 |
商用利用を前提にするなら、利用規約や公式ガイドラインを定期的に見直し、疑問があれば法的な専門家に相談する姿勢がとても大切です。
コミュニティからの印象と炎上回避
AI生成の立ち絵やモデルを巡っては、イラストレーターや視聴者から賛否両論の声が上がっています。
クリエイターの仕事が奪われるのではないかという懸念や、AI特有の質感が苦手だという感情的な反発も存在します。
こうした背景を理解したうえで、活動方針やAIの使用範囲をあらかじめ説明しておくと無用な誤解を避けやすくなります。
- AI使用の範囲を明示
- イラストレーターとの協業を歓迎
- ファンアートの扱いをルール化
- 炎上時の対応方針を決めておく
- 柔軟に改善する姿勢を示す
収益化時に意識したいポイント
スーパーチャットやメンバーシップ、企業案件などで収益化する場合、AI生成モデルや音声に関する権利処理が一層重要になります。
使用しているAIツールやモデルのライセンスが収益化や商用利用を許可しているかどうかを改めて確認しましょう。
オリジナルグッズやスタンプを作る場合は、AI生成のデザインをそのまま使うのではなく、デザイナーによる描き起こしを挟むことで安心度が高まります。
長期的にブランドとしてVTuberを育てたいなら、初期のコストを多少かけてでも権利関係をクリアにしておくことが結果的に一番のコスパになります。
AIで作るVTuber時代の賢い付き合い方
VTuberをAIで作る技術は、イラストやプログラミングのハードルを下げてくれる一方で、新しい権利問題やコミュニティとの緊張も生み出しています。
大切なのは「早く安く作れるから使う」のではなく、「自分の表現や活動を広げるための道具としてどう使うか」を自分なりに決めることです。
モデルの一部だけAIに任せたり、企画段階の発想補助として活用したりと、使い方のグラデーションを意識すればバランスの良い付き合い方が見えてきます。
権利や倫理に配慮したうえで、視聴者やクリエイター仲間と対話しながらAI時代ならではのVTuber像を一緒に育てていけると理想的です。
この記事の内容を参考に、自分なりの距離感でVTuberとAI生成の組み合わせを模索してみてください。

